僕が友人にキャンプ道具を紹介する際、テントやタープの前に絶対に勧めるものがあります。
それが鍛造ペグです。簡単に言えばちょっと高い良いペグです。
「ペグは付属のものでいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、ペグはキャンプにおけるキーアイテム、命だと僕は思っています。
これがあるだけでキャンプの設営・撤収時間が短縮でき、さらに安心感を各段に上げることができます。そんなペグの重要性と鍛造ペグについてご紹介していきます。
テントの付属ペグは強度が不安
どんなテントであっても、設営に最低限必要な本数のペグが付属されています。僕が購入したスノーピークのアメニティドームMにも細くて短いペグが付属していました。
細いスチール製やプラスチック製のペグが付属するテントも多い中、アメニティドームに付属するペグは強度の高められたジュラルミン素材を採用しています。このあたりは、さすがスノーピークですね。
とはいえ、いずれも短くて細い=軽いため手軽に持ち運べるメリットはあるものの、その引き換えとして強度が弱くなっています。
そうした弱いペグで設営を行う場合、硬い地面・石が設営場所にあると、最悪の場合ペグが折れてしまい、キャンプそのものができないなんてことも…。
そんな時、ちょっと高い良いペグであればそういった心配とはおさらばです。
あらゆる要件を満たす鍛造ペグ
鍛造ペグは、軽いけど弱い付属ペグの対極に位置するペグです。付属ペグで痛い目を見た方や、今からキャンプを始めるけど失敗はしたくないという方にぜひ使っていただきたいです。
こいつに任せておけば大丈夫だという安心感があり、質実剛健という言葉がしっくりときて、「1度使うと他のペグには戻れなくなる」と断言できるほどの鍛造ペグの魅力を解説していきます。
鍛造製法による高い強度
鍛造製法とは鉄の強度を上げるために叩いて密度を高める手法のことです。
出典:株式会社山伸より引用
刀鍛冶が刀を作る時に鉄を叩く手法、と言えばイメージがしやすいのではないでしょうか。
そして、鍛造製法と言えば強さの代名詞です。
- 車のアルミホイール
- 車のエンジン内部品
- 航空機の着陸装置
いずれも同製法で作られており、絶対的な強度がなければいけない部品ばかりです。
これらと同じ製法でキャンプ用のペグが作られているというのは男心をくすぐります。
硬い地面・石があってもこの強さがあればペグを楽に打つことができるため、設営成功は約束されたも同然です。
高い汎用性
ペグにはたくさんの種類とそれに合った使用場所があります。
例えば「プラスチック製は砂地が得意だけど、硬い地面は苦手」などです。
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) プラペグ23cm 4本組 M-7158
適材適所のペグを選んで設営をすることは、「道具を使い分けること」にワクワクする人にとってはキャンプの醍醐味ともいえるでしょう。
しかし、僕はそういった事を「ちょっと面倒くさい」と思ってしまう性分です。なるべくなら1つのもので済ますことができればコスパもいいし最高だと考えています。
そんな中、鍛造ペグの汎用性の高さは地面だけではなく僕にも突き刺さりました。
これまで雨でぬかるんだ地面や、石の多い硬い地面など様々な場所で使用してきましたが、設営で失敗した経験はゼロです。その信頼度は高く、今後他のペグに浮気することはないと断言します。
様々な場面で使える汎用性の高さは荷物を減らすのみでなく、設営時間短縮とお金の節約にもつながるので、そういった面でも初心者におすすめです。
抜けにくく、抜きやすい構造
テントやタープの設営をするうえで1番ネックになってくるのは風です。無風であれば最高なのですが、広々とした草原や標高の高い山でキャンプをする場合、そういった好条件で設営できることはなかなかありません。
そのため、風がある中でもしっかりと固定できるかどうかが設営成功のカギになります。冒頭で「ペグがキャンプの命」とお伝えしたのはそういった理由です。
付属のペグは短く軽いことが仇となり、突風などで抜けてしまう可能性が高いです。軽いとは言え鋭利な金属なので、抜けて飛んだ先に人がいれば怪我につながることも…。
そういった点でやはり付属のペグは信頼性に欠けてしまいます。
一方、鍛造ペグは太い・長い・楕円など構造が異なることで付属のペグと比べてはるかに抜けにくくなっており、それが設営面・安全面での信頼につながっています。
並べてみると、ご覧の通り。太さも長さもまったくの別物で、鍛造ペグの力強さが伝わってきます。
大人が引っ張った程度では抜けませんし、経験上風速5mくらいの風ではびくともしません。もし、鍛造ペグでも設営が難しい状況であればキャンプを中止する方が無難です。
また、鍛造ペグは強固に刺さった状態でも簡単に抜くことができます。
初心者あるあるとしてペグが抜けないくらい打ち込みがち(僕も何度もやりました…)があるのですが、その状態であっても鍛造ペグではびっくりするくらい簡単に抜けます。
ペグの穴に別のペグを刺して回すだけであっさりと抜けるようになるため、初めて抜いた時は「え、これでおわり?」と拍子抜けするほどでした。
「打ち込みすぎて抜けない」なんて事態であっても鍛造ペグは抜きやすさにも工夫がされているので撤収時の労力が少なくて済みますよ。
風では抜けにくく、それでいて抜こうと思えば簡単に抜ける構造が、設営と撤収時の両方で活躍してくれます。
鍛造ペグ界の二大巨頭、ソリステとエリステ
インターネットで鍛造ペグを検索すると、値段が高い物・安い物などたくさんの種類が出てきます。
その中でも絶対的な地位を築いているのがソリッドステーク(上)とエリッゼステーク(下)です。
両者とも金属加工の街、新潟県燕三条地域で製造されている国産のペグです。国産と聞くだけで安心感が増しますよね。
僕は国外産でも気にせず使うのですが、キャンプの命ともいえるペグなのでそこだけは信頼のおけるものを使いたいというのがこだわりです。
ソリッドステーク
ソリッドステーク(ソリステ)はSnow Peak(スノーピーク)から発売されている鍛造ペグです。
スノーピーク(snow peak) ソリッドステーク30【6点セット】 R-103-1
鍛造ペグと言えばソリッドステークと言われるくらいの定番商品で、価格は30㎝1本で420円とやや高めですが、確かな品質で多くのキャンパーが愛用しています。
聞いた話では岩をも砕くその強度で、どんなフィールドであっても敵なしだとか…。
僕の経験では岩まで砕けるかはわかりませんが、石がゴロゴロの硬い地面でもガンガンいこうぜ作戦で何も考えず設営できてしまうのは本当です。さすがはスノーピークとしか言いようがありません。
また、長さが20~50㎝と幅広く設定されていることも特徴で、必要に応じて使い分けることができるため様々なキャンプスタイルにマッチします。
エリッゼステーク
エリッゼステーク(エリステ)は村の鍛冶屋から発売されている鍛造ペグです。
エリステもソリステと同様に多くのキャンパー御用達で、品質は折り紙付きです。
加えて製造工程で楕円形に加工されているため、より一層抜けにくい構造となっています。
また、ソリステと比べて1本あたりの単価が約100円安く、本数を多く買う人はこちらがおすすめです。僕も節約のために9割はエリステを購入しています。
そして、エリステ最大の特徴はカラーバリエーションがあることです。
黒のペグはカッコイイのですが、実際にキャンプに行くと自然に溶け込んで見失ってしまうことが多く「赤にすればよかった」とよく思います。
無くしたことはありませんが、大捜索は経験済み…その時間だけで撤収ができたくらいです。
写真の色以外にも紫・オレンジ・水色など多くの色から選ぶことができるので、テントの色などと合わせながら選んでみてください。
最強ペグ唯一の弱点はその重さ
最強のペグとして紹介してきたソリステ・エリステの唯一の弱点はとにかく重いことです。
鍛造製法によって作られたその重厚なボディのおかげで硬い地面もガンガンいけるのですが…その重量はご覧の通り。
1本13gほどだったジュラルミン製の付属ペグに対し、鍛造ペグはなんと14倍の180g以上となっています。
僕の場合は重い=強い=正義という方程式が成り立っているので、いつも予備を含めて20本くらいキャンプへ持っていきますが、それだけで4㎏近い増加になります。
正直、かなり重いのでツーリングキャンプの場合は短いものを選ぶなど、スタイルや行く場所によって工夫が必要になってきますね。
最強のペグは最強のハンマーで打つ
最強のペグを購入して、それで終わりではありません。
最強のペグを打つにはそれに見合った最強のハンマーが必須となります。
なぜかというと、ペグとハンマーは双方の素材をある程度揃えて使用する必要があるためです。どちらかが柔らかいと硬い方に負けて壊れてしまい、設営ができなくなってしまいます。
そこで、最強の鍛造ペグを打つには同じく鍛造で作られたペグハンマーを使用しましょう。
同じ製法で作られたペグハンマーを使うと面白いほど簡単にペグを打つことができます。同じ製法ということは特徴も同じであり、このペグハンマーもかなりの重量感があります。その自重を利用して効率よく打つことができるので、100均などのハンマーと比べて疲労感が全然違います。
また、ハンマー後部の突起部分を使えばペグを抜くこともできるので、撤収時の強い味方になります。一つ一つペグを通して回すよりも効率的に作業をすることができますよ。
ちなみに、ブランドを揃えたいという方には村の鍛冶屋もアルティメットハンマーという商品を発売していますのでチェックしてみてください。
見た目もさることながら、アルティメットという名前が男心をくすぐりますね。どちらも鍛造ペグを打つために作られているハンマーなので、ブランドや好みで選んでいただければよいと思います。
まとめ
安全性と効率性を高めたいのであれば、鍛造ペグはキャンプにおいて必須アイテムです。
僕自身、鍛造ペグを使ってからは付属ペグを一度もテントやタープの設営には使っていません。
重さという弱点はありますが、それを考えても有り余るメリットが鍛造ペグにはあります。
ぜひ、鍛造ペグを使って快適なキャンプを過ごしてみてください。きっと満足のいくものになるはずです。
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